「『婚約者』がいるとは驚いたな。ちょっと前まで『お兄ちゃんと結婚する』って言ってくれていたのに」
「ちょっと前って…それは小さい頃の時でしょ…!」
「俺にとっては、芽衣子はまだまだ可愛い女の子だよ。波多野さんも大変でしょう。芽衣子は本当に昔から変わらず無垢で目が離せない子だから」
「いえいえ、そんなことはありませんよ。芽衣子さんはもうすっかり俺の前では『大人の女性』ですよ」
「ま、雅己さん…!」
俺と俳優の間に、冷たく激しい電気が走っていた。
知らぬのは、純朴に顔を赤らめて俺達の間でおろおろしている芽衣子ばかりだ。
しかし、時が俺に味方した。
「芽衣子、もうすぐ公演時間だ。会場に行って座っていよう」
と、もっともな理由を言って芽衣子を引き寄せ、これ見よがしに腰に手を回した。
「まぁ、もうそんな時間? じゃあお兄ちゃん、私はこれで」
「ああ、楽しんでくるといい。今度は俺の公演を招待するよ。もちろん特等席を用意しておく」
「ほんと? 楽しみにしてるね! あと今日の初舞台のお祝いは…あっ…」
芽衣子が別れの挨拶が満足に終わらない内に、俺は芽衣子を連れて足早に歩いて行く。
「ちょっと前って…それは小さい頃の時でしょ…!」
「俺にとっては、芽衣子はまだまだ可愛い女の子だよ。波多野さんも大変でしょう。芽衣子は本当に昔から変わらず無垢で目が離せない子だから」
「いえいえ、そんなことはありませんよ。芽衣子さんはもうすっかり俺の前では『大人の女性』ですよ」
「ま、雅己さん…!」
俺と俳優の間に、冷たく激しい電気が走っていた。
知らぬのは、純朴に顔を赤らめて俺達の間でおろおろしている芽衣子ばかりだ。
しかし、時が俺に味方した。
「芽衣子、もうすぐ公演時間だ。会場に行って座っていよう」
と、もっともな理由を言って芽衣子を引き寄せ、これ見よがしに腰に手を回した。
「まぁ、もうそんな時間? じゃあお兄ちゃん、私はこれで」
「ああ、楽しんでくるといい。今度は俺の公演を招待するよ。もちろん特等席を用意しておく」
「ほんと? 楽しみにしてるね! あと今日の初舞台のお祝いは…あっ…」
芽衣子が別れの挨拶が満足に終わらない内に、俺は芽衣子を連れて足早に歩いて行く。



