クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

三度目の邪魔が入った。

今度はどこのどいつだ、と思ったら、予想外の大物にさすがに焦った。
恰幅のいい身体に負けない存在感を発して俺に歩み寄ってきたのは、全国に数多くの外食チェーン店を展開し、その中でもカフェ部門は全国売上NO,1の実績を誇る企業―――要はライバル会社の幹部だった。

ったく、今回の公演に限って、何故こうも大物ばっかり来ているんだ。
さすがに、女の尻を追いかけている所など見られるわけにはいかない。
遠くなっていく芽衣子の後ろ姿を気にしながら応じた。

やっと解放されたのは、数分話した後だった。

だが、芽衣子を見つけることは、すぐにできた。
上質な着物一式もさることながら、それを凛然と着こなすことで放たれる美しさが、これほど多くの人が溢れている中でも目を引かせるからだ。

我が未来の妻ながら見惚れてしまうほどだ―――なんて思って歩み寄ろうとする俺の浮かれ気分は、次の様子を目にした途端に吹き飛んだ。