クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~

物品庫からナプキンを出してきた時、店長が私に駆け寄ってきた。
慌てた様子だ。
どうしたんですかと応じると、少し声を潜めて店長は言った。

「実はね…あなたに会いたいっておっしゃっているのよ…」
「え…?」

誰が会いたいと言っているのだろう。
意味がわからず訝しんでいると、店長がさらに顔を近付けてさらに小声で続けた。

「あの御曹司が、あなたに直接会いたいって…どうしても、って」

息を飲む私に店長は片手でごめんとジェスチャーをした。その肩越しに着物姿の男の人が近付いてくるのが見えて、さらに息が止まりそうになる。

「無理を言ってすみません」