クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む～運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です～

「女子会と称してせっかくお母様が誘ってくださったのですから…」

と、はにかむように笑う芽衣子に俺は内心感心する。

先日母に会った際に、すぐに母の明朗な性格に気付いたのだろう。
そんな母と着物を着て外出するとなったら、あえて控えめでいるより粋な装いにした方が喜ばれると思ったのかもしれない。
母との交流を楽しもうと思ってくれている芽衣子の気持ちの表れといえた。

俺の母親を受け入れようとしてくれる芽衣子の心遣いと、あの母にも物怖じすることなく対等で向き合おうとする意外な思い切りに、俺は彼女の新しい魅力を見出した気がした。

「いいね。君にはそれがよく似合う」

ますます芽衣子に惹かれていく熱情を抑えきれず、俺は彼女の小さな耳に吐息まじりに囁く。
すると彼女は気恥ずかしげに微笑を浮かべて、美しい横顔を赤らめる。

きっと、この着物と帯を着て完璧に装った芽衣子は、堪らなく可憐で美しいに違いない。
そう想像して高揚する俺だったが、いつまでも一人で盛り上がっていても埒が明かない。
帯が決まれば他の物も早く決めなければ。