クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む～運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です～

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【雅己side】


銀座の一角にある商業ビル。
一階の和風テイストの店舗のショーウィンドウには、色鮮やかにリメイクされた着物を着たマネキンが並んでいた。
若者向けの斬新さを出しつつも、どこか品の良さも残しているデザインが売りの商品だ。

いまや海外での評判も高い、若者向けの呉服販売チェーン店。
都内一の大きさを誇るこの店舗は銀座に立つビルの一階を占め、二階に入った茶房紫庵では、新商品の抹茶スイーツの発売日である今日は一階まで行列ができていた。

そのさらに上の三、四階には、従来の着物や関連商品を扱う呉服店、綾部屋本店が入っていた。

着物を贈ってもらった翌日の今、俺と芽衣子はそこを訪れていた。

母さんが贈ってきた着物に合う帯と小物を買うためだ。

実家に帰れず困っている芽衣子に俺が「帯や必要なものは俺からプレゼントする」と言うと、芽衣子は「まるで食事をおごるように簡単に言わないでください…！」といつものように遠慮した。
けれども、この着物に合う帯や小物となると、彼女が自腹で手に入れられるものではすまなかった。
芽衣子もそれは解っていたので、渋々だが折れた。

もとより、母さんもそのつもりで着物だけ贈り付けてきたのだろう。

いいだろう。
俺の芽衣子への愛の本気度を示してやる。