「あなたたちは、いつからお付き合いしているの?」
「つい先日からだよ。芋羊羹、もう一切れいい?」
「今どき年寄りも食べないって言っていたのはどこの誰かしら? まぁまぁ、じゃあお付き合いしたてで、今が一番ラブラブの時なのねぇ。お邪魔しちゃったわねぇ」
「まったくだよ。いい加減、急に来るのはやめてもらいたいよ…っ痛っ!」
箱に入っている芋羊羹に黙って手を伸ばした雅己さんの手をぴしゃりと叩いて、お母様が続けた。
「おまえの今までのお付き合い相手と言ったら、どこぞの遊び場で毎晩たむろしているような品のない冴えない娘たちばかりだったじゃないの。気が気じゃなくて急に押しかけたくもなる親の気持ちも考えなさいな―――あら! ごめんなさいね、芽衣子さんは別よ? 一目で判ったわぁ。やっとこの子も運命の女性というものに出会えたのかしらねぇ」
「まぁ、そういうことかな」
「もう! 母親の前でのろけたりして!」
ほほほと口を添えて軽快に笑うお母様。
その嬉しそうな様子は、代表取締役というよりも一人息子を想う母親という方が強かった。
雅己さんも、いつもの毅然とした様子とは違って、どこか砕けているのが微笑ましい。
お母様に反発心を抱いた時期もあったと聞いたけれど、今はもうそんなことはないんだな。
打ち解けた親子関係は眺めるこっちも嬉しくて、そして少し羨ましかった。
「つい先日からだよ。芋羊羹、もう一切れいい?」
「今どき年寄りも食べないって言っていたのはどこの誰かしら? まぁまぁ、じゃあお付き合いしたてで、今が一番ラブラブの時なのねぇ。お邪魔しちゃったわねぇ」
「まったくだよ。いい加減、急に来るのはやめてもらいたいよ…っ痛っ!」
箱に入っている芋羊羹に黙って手を伸ばした雅己さんの手をぴしゃりと叩いて、お母様が続けた。
「おまえの今までのお付き合い相手と言ったら、どこぞの遊び場で毎晩たむろしているような品のない冴えない娘たちばかりだったじゃないの。気が気じゃなくて急に押しかけたくもなる親の気持ちも考えなさいな―――あら! ごめんなさいね、芽衣子さんは別よ? 一目で判ったわぁ。やっとこの子も運命の女性というものに出会えたのかしらねぇ」
「まぁ、そういうことかな」
「もう! 母親の前でのろけたりして!」
ほほほと口を添えて軽快に笑うお母様。
その嬉しそうな様子は、代表取締役というよりも一人息子を想う母親という方が強かった。
雅己さんも、いつもの毅然とした様子とは違って、どこか砕けているのが微笑ましい。
お母様に反発心を抱いた時期もあったと聞いたけれど、今はもうそんなことはないんだな。
打ち解けた親子関係は眺めるこっちも嬉しくて、そして少し羨ましかった。



