クールな御曹司は傷心令嬢を溺愛で包む~運命に抗いたかったけど、この最愛婚は想定外です~




「いやぁ、恐れ入った、すんごいイケメンね」
「イケメンっていうより、あれですよね」
『貴公子』

ユニゾンする、女の子とおばさま達。

専務達と地区マネージャー達が事務室に籠ってしまえば、私達の業務は終わったようなものだ。
みんな幹部と対面する緊張から解放されて、口々に感想を漏らす。

浮ついているみんなとは対照的に、私はへたりと客席に座り込んでしまった。

やっぱり似ていた。

背格好も奇麗な顔立ちもあまりに似ていた。けど全然違う。
あの夜の彼は、あんなに完璧な雰囲気ではなかった。もっとくだけていて、それだけに翻弄してきて…。

「どうしたの、芽衣子さん」