正面から見て改めて圧倒される秀麗な顔立ち。
一見、きっちりとした和装姿で気付かないけれど、その容貌は私より三、四歳上でずいぶん若いことがわかる。
サイドに流した黒髪の半分を下ろして頬にかけている艶っぽさが、やはり、あの人に似ていた。

一晩だけの私のわがままを叶えてくれたあの人に…。

胸の内に渦巻きだしたざわめきの中に、あの夜に焼き付けられた甘い高鳴りが息を吹き返す。