戸惑いの表情を浮かべて見つめてきた芽衣子の腰を引き寄せると、俺は柔らかな頬に手を添えた。

やっと彼女を近くにおけて。
毎日この綺麗な顔を愛でることができているというのに。

一度彼女の味を知ってしまった俺は、こうして彼女に触れて、腕の中におさめて、奪いたくて―――自制がきかなくなってしまっている。

「せん…む…っ」

そんなか細い声で拒まれたって、むしろ甘く煽られているようで欲情が抑えられない。

何度も思い返したその甘い唇をもう一度堪能しようと唇を近付けた―――。

「噓つきは…きらいです…っ」

甘いはずの唇から、不意に棘のある言葉が漏れた。
珍しく眉間に皺を寄せた渋い表情をして、芽衣子が俺を見つめていた。

「専務、よく見てください。この表、今日ではなくて明日のものですよ」

と、タブレットをバリケードのように俺の前に掲げる。
俺は苦笑いを浮かべた。