「えっ…?」

私と彼の視線が交わった。

「君の名前は?」

そう聞いてきた彼に、
「亜月です…」

私は言った。

「アツキちゃんか…。

俺は、孝太」

「コウタ…」

「うん、孝太」

彼ーー孝太の端正な顔立ちが近づいてきた。

周りの騒がしい音は、私たちの耳に入っていなかった。

ここにいるのは、私たち2人だけのような気がした。

「ーーッ…」

孝太の唇が私の唇と重なったのと同時に、私は目を閉じた。

唇が離れたのと同時に目を開けると、孝太の顔がすぐ目の前にあった。

孝太は目を伏せると、
「あんまりこう言うのは言いたくないんだけど…」
と、自分の手を私の手に重ねてきた。

「この後、どう…?」

そう聞いてきた孝太に、
「はい…」

私は首を縦に振ってうなずいて、返事をした。