「陽太のこれから先の人生が幸せであふれているように…いや、そうなるように努力するよ」

孝太は言った。

「子供の頃に親にしてもらいたかったことを全部するんだもんね」

そう言った私に、
「うん」
と、孝太は首を縦に振ってうなずいた。

「でも大変な時はちゃんと言ってね?

もう家族なんだから、もう遠慮しなくてもいいんだから」

「亜月もね」

フフフッと笑いあっていたら、
「あの…邪魔なようだったら、部屋を出ようか?」
と、絹子さんが困ったように声をかけてきた。

「えっ…」

「あっ…」

しまった、絹子さんはまだいた。

「じゃ、邪魔じゃないですよ。

絹子さんも大事な家族ですから、ね?」

そう言った私に、
「そうですよ」

孝太は首を縦に振ってうなずいた。

「もう!」

怒ったように返事した絹子さんに、私たちは笑った。