呪いで幼女になった聖女ですが、置いてけぼりにされた上に魔王に拾われました。でも結構幸せです。




 すると、魔王はハハハと笑って、レティシアの涙を指で拭いてきた。

「食べない食べない。あのな? 人間を食べるっていうのは、俺の前の魔王の話だ。俺は去年そいつを倒して新しく魔王になった。人間は一度も食べたことないな」
「……ほ、本当ですか?」
「本当。俺も、そこのオズワルドもその趣味はない」

 よかった、と安堵する。
 とりあえずだが。

 だが、人間は食べないけれども、残虐に殺すことは大好きなんてことはあるのかもしれない。

「とりあえず、ここにこのままいることはできない」
「……はい」

 この「及ばずの森」は普段は濃い瘴気によって閉じ込められ、一度入ると無限迷宮のように彷徨うことになる、出口にまで及ばない森。

 レティシアはここに一人に置かれたら死んでしまうだろうし、魔王も先ほどから森に残るのはまずいと話している。
 かの魔王の力をもってしても、この森は魔境であることは変わりないのだろう。