呪いで幼女になった聖女ですが、置いてけぼりにされた上に魔王に拾われました。でも結構幸せです。




「――ん? 子ども? 何でこんなところに?」

 魔王と思しき男がレティシアを認めると、片眉を上げてしげしげと顔を覗き込んできた。
 小さくなったからだろうか。
 男の口が恐ろしいほどに大きく見えて、がぶりと頭から食べられてしまうのではないかと声にならない悲鳴を上げた。

「生贄では? いまだに勘違いしている、森の向こうの村の人間たちがいるのでしょう。困りましたねぇ。もう生贄なんていらないと何度も言っているのに、いっこうに信じようとしない」
「それだけあの爺さんがしつこく寄越せって言ってたんだろうな。大好きだからなぁ、人間が」

 男二人は渋い顔をして何やら話し込んでいる。
 話から察するに、彼らはレティシアのことを生贄だと思っているようだ。
 たしか、森に入る前に、近くの村の人間に随分とやめておけと言われたものだが、こういう事情があってのことだったのだろう。

 つまりは、今レティシアは勇者一行にいた聖女であるということはバレてはいない。
 目の前にいる幼女が敵であり、呪いによってこんな姿になったと知ったら、彼らはどうするのだろう。

 聖女の力は、魔王にとっては脅威だ。
 聖力は魔力を妨げる唯一の力。

 命を脅かされている者としては、是が非でも殺しておきたい相手のはず。