きっとこんなことを言ったらゲオルグは困るだろう。
迷惑をかけていることも分かる。
けれども、ゲオルグたちが大好きなのだ。
魔族であろうとも、他の魔族に食べられる危険性があったとしても。
様々な危惧がどうでもいいと思えてしまうくらいに。
これが一方通行の想いであったとしても。
レティシアにとっては城は唯一無二の場所だった。
「……本気か?」
さめざめと泣くレティシアに、ゲオルグが訝しむように聞いてきた。
少し低い声色にビクリと肩を震わせたが、本気であることを示すように強く頷いた。
「魔族に囲まれるということはどういうことか分かっているか?」
「はい」
「身に危険が降りかかる可能性もある」
「分かっています」
「人間の国に帰りたいと言っても、すぐには帰れなくなるぞ?」
「それでもいいです。もし、私がそんなことを言い始めたら、森に放り投げてください」
「……そうか」
ゲオルグの静かな声が怖かった。
やはりダメなのだろうかと予感させるような声が。
断られる覚悟を決めて、レティシアはぎゅっと手に力を込めた。

