「……ゲオルグ様」
「どうした?」
「私、これから、凄く自分勝手なことを言います。今までで一番の我が儘です。こんなことを言うこと自体おこがましい」
ゲオルグは何か言いたげに口を開いたが、再び閉じた。
最後までじっと聞いてくれるつもりなのだろう。
レティシアはその気遣いに感謝しながら、さらに続けた。
「でも私、今ここで本当の気持ちを伝えなければ後悔する。やはりあのとき言っておけばよかったと、二度と取り返しのつかないことを惜しむのは嫌なのです」
ちゃんと相手に伝える。
そのためにレティシアは大きな目をゲオルグに向け、絞り出すように願いを言葉にした。
「――ゲオルグ様、私、帰りたくないです。まだ城にいたい。城でゲオルグ様たちと一緒に、暮らしたいです」
ようやく口にできた願いは、涙とともにとめどなく溢れ出た。
「……ごめんなさい、ゲオルグ様……ごめんなさい」

