「自覚がないのですね」
まるで、レティシアの望みを知っているかのような口ぶりだ。
何故こんなことを言われるのか分からず、レティシアは戸惑った。
「覚えておいてくださいね。本当に欲しいものは、声に出して相手にしっかりと伝えないと手に入りませんよ」
――どうして、そんなことを言うのだろう。
レティシアはキュッと唇を真一文字に引き結んだ。
すべて口にしたというのに、これ以上何を望めというのか。
「短い間でしたが、楽しかったですよ。貴女がやって来てから、この城は華やぎました。――しばらくは、貴女のいない日々に慣れないかもしれませんね」

