「おや、もう支度を終えたのですか? 気が早いですね。明日出発なのに」
部屋にやってきたオズワルドは、綺麗に整えられた部屋を見てフフフと微笑む。
最初、彼のこの笑い方が苦手だったが、今では平気になった。
腹に一物を抱えているようではあるが、レティシアを見透かしたうえでどうこうしようという気はなさそうというのが分かったからだ。
おそらく、こちらが意図的に危害を加えない限りは傍観するつもりだったのだろう。
「明日忘れ物をしたら嫌なので、早めの準備をしたのです。……もう二度と、こちらに取りには戻れないでしょう?」
及ばずの森を抜けて人間の国に戻ったら、ゲオルグたちには会えない。
嫌というほど分かっているから、念入りになる。
「フフフ……貴女は本当にいい子ですねぇ。最後の最後まで」
「そうですか? 結構我が儘を言ってしまった自覚はあるのですが……」

