庭に花も植えた。
人間の国に帰っても、レティシアがここにいたという証を残せるように。
手紙も書いた。
感謝の言葉で溢れたものを。
書ききれなくて何枚も使ったけれど、きっとこの気持ちの半分も伝えきれていないだろう。
ウィニーに教えてもらって、簡単な刺繍もした。
魔族の文字を教えてもらい、ハンカチにウィニーの名前を刺繍をする。
その横に、小さく「レティ」と入れたのは、彼女に渡すまで内緒だ。
ゲオルグにもオズワルドにも同じく刺繍入りのハンカチを。
それと、ウィニーが作ってくれた女の子の人形の胸の辺りにも、「レティ」と刺繍した名札をつけた。
あとは、何を残せるだろう。
レティシアは滞在日数が少なくなるにつれて深く考え込むようになった。
子どもがまるで駄々をこねるように、皆に「レティ」という人間がいたことを忘れてほしくなくて必死にもがいている。

