それから、レティシアは随分と自分に正直になった。
我が儘の加減が分からず、ときおりゲオルグたちを困らせてしまうこともあったが、そんなときは彼らは怒らずにじっくりと教えてくれた。
これは我が儘か否かと頭を悩ませることもあるが、でもそこがレティシアに求められている主題ではないのだと気付いた。
気持ちを自分の中に押し込まない。
相手に伝えることも重要だ。
その過程で多少我が儘になってしまってもいいんだよ。
そう教えてもらっているような気がする。
レティシアの中には「個」というものがなくて、いつも「誰か」のために動いていた。
両親のため、神殿のため、そして平和を求める世の中のために。
「個」を殺すことに慣れ、麻痺していたのだろう。
それに、実は少し我が儘を言うのが楽しくなってきていた。
神殿の掟を破ることに快感を覚えてしまう。
ずっと禁じられていた肉もデザートも美味しいし、ウィニーと一緒に遊んだり、ゲオルグとお忍びで町に下りて買い食いをしたり乗馬したり。
疲れたら寝て、大きな口を開けて笑って。
毎日捧げていた祈りもそこそこに、やってきたゲオルグを迎え入れて、オズワルドに連れ帰される姿を見送って。

