自分の人生はここで終わってしまうのだろう。
聖力もなく、幼い身体で戦うこともできずに殺されてしまう。
そういえば、魔王は人間を食すことを好むと聞いたことがある。
殺されるだけではなく、食べられてしまうのか。
(……痛いのかしら。それとも、先に殺してくれるかしら)
思考が現実から逃避し始めて、なるべく楽に死にたいな……と思い始める。
神殿に入ってからこの方、俗っぽい思考を棄てて、高尚で清廉な思考を持つようにと叩き込まれたが、人間は死を間近にするとお綺麗ではいられないらしい。
怖くて怖くて、震え上がって、今にも取り乱しそうだ。
もうすぐ、強大な魔力の持ち主がやってくる。
どこかに隠れないととは思うが、腰が抜けて動けなかった。
遠くから黒い塊のようなものが二つ、物凄い速さで迫ってくる。
あれがそうなのだろう。
瞬く間にそれはレティシアの前にやってきて、そして目の前に立ちはだかった。

