「……おい、爺……レティの部屋で何をしている」
「わ、儂は、人間の匂いがしたからっ」
「だからって勝手に入ってくるんじゃねぇ。お前は幽閉されている身だろうが。恩赦で殺さずにいてやったんだ。それを忘れて、徘徊してんじゃねぇよ」
低く、地を這うようなゲオルグの声は背筋が凍るほどに恐ろしかった。
いつもより乱暴な言葉遣いをし、今にも爺と呼ばれた魔族の頭を握り潰しそうなほどに怒っている。
こめかみの血管がピクピク震えていて、相当憤慨しているのが分かった。
「今すぐここで殺してやろうか? あ?」
「や、やめろっ」
「なら二度とレティに近づくな。――今度近づいたら、容赦なく殺す」
ゲオルグの瞳の瞳孔が縦に細長くなっている。
金色のそれは鋭い光を放つ。
普段は優しいので忘れてしまいそうになるが、彼は魔王なのだと改めて思う。
レティシアは、ゲオルグの恐ろしさを知ったような気がした。

