「やはりぃ……その美味そうな桃色の瞳からいただこうとしようかのぉ!」
ひひひっ、と下卑た笑い声を上げて、長い舌をレティシアの目に向けて伸ばしてくる。
涎が滴るそれを見つめながら、死を覚悟した。
(……助けてっ)
声が出ない代わりに心の中で何度も叫ぶ。
――でも、誰が?
誰が助けれてくれるというのだろう。
一方ですでに諦めを持ってしまった自分が囁いていた。
神殿に売られた自分。
勇者に見捨てられた自分。
聖女という称号を得ても、結局は変わらなかった。
レティシアはいらないと言われてしまう人間。
そうではないと思いたいのに、どうしても思ってしまう。
ここでこの魔族に食われても、きっと誰も……。
(……誰かが)
ひゅっと咽喉が鳴り、頭にその誰かを思い浮かべた。

