「人間人間人間……お前、人間だなぁ。人間、にん、にんゲン、ひひひっ」
老父なのか顔じゅうが皺だらけで皮が弛んでいた。
目と口だけは大きく開いているために、異形に見える。
にたぁと笑うさまはおぞましく、この世のものとは思えなかった。
「久しぶりじゃあ……久しぶりの馳走じゃあ。どこから喰ろうてやろう。頭からバリバリとか? それとも、そのやわこそうな腹を裂いて臓腑を吸い出してやろうかのう」
しゃがれた声から出てくる言葉にレティシアは震え上がった。
食べる?
自分を食べようとしているのかと、ぶわりと全身から汗が滲み出る。
もしかして、魔族の一人だろうか。
人間を捕食することを好むという魔族。
そいつがレティシアの人間の匂いを嗅ぎつけてここまでやってきたのか。
「……っ……ぁ……たす……たすけっ」
声が震えて上手く出せない。
悲鳴を上げて誰かに助けを求めたいのに、上手く呼吸ができなく息が吐けない。

