ところが。
――ぴちゃ……ぴちゃ……
レティシアは、自分の頬に垂れる何かに気付いて目を覚ました。
水のようなものが、ぽと……ぽと……と垂れてくるのだ。
(雨漏り……?)
こんな立派な城で? と薄っすらと目を開ける。
「ひっ……!」
すると、引き攣るような悲鳴が口から出てきた。
目の前に、ぎょろぎょろと大きな目がある。
レティシアのすぐ横で、得体の知れない何かがこちらを見ていた。
「……ひひひぃ……美味そうな匂いだぁ……儂のところにまで漂ってきたぞぉ」
大きな口から出た長くて分厚い舌が、だらだらと涎を垂らしている。
それがレティシアの頬に落ちてきていたのだと分かって、気持ち悪くて飛び起きようとした。
ところが、ベッドごと身体を縛り付けられていて身動きが取れない。
蔦のようなものが巻き付いて、微動だにできないのだ。
魔法か何かだろうか。
それで自分が思った以上に危機的な状況に陥っていることが分かった。

