「今まで苦労してきたんだろう?」
「……どうでしょう? 私の苦労など、他の人に比べれば……大したことでは……」
こんなことで自分で可哀想だと思ってはいけないと首を横に振る。
すると、ゲオルグは眉尻を下げて、悲しそうな顔をしてきた。
「この年で生贄になるなんて、とんでもないことだ。普通なら考えられないし、大人はそれを止めるべきだ。レティ、お前は十分しなくてもいい苦労を強いられている」
「そ、そんなことぉ……う……うぁ……」
「ここでは、そんなことさせないからな。俺があちらに戻すまでちゃんと面倒見てやる。思いっきり甘えてくれ」
そんな優しい言葉をかけられたのは初めてだ。
逆に甘えるなと叱咤されてきたのに。
レティシアは堪らず声を上げて泣いてしまった。
まるで子どものように。
わんわんと声を上げて。
ゲオルグはレティシアを自分の膝の上に乗せて、背中をさすってくれた。
服が涙で汚れることも構わず、ただ「思い切り泣け」と言ってくれたのだ。
いつの間にか泣き疲れて眠ってしまっていた。

