レティシアは、自分を置いてきぼりにして去っていく勇者たちの後姿を思い出す。
彼らは死ぬと分かっていながら、レティシアを犠牲にすることを選んだ。
神殿では性善説を教え込まれた。
レティシアもまた、人間は生まれながらにして悪人ではないと信じていた。
だから、堕落の一途をたどる勇者たちに口煩く言っていたのだ。
きっと正しき道に戻ってくれると信じて。
(でも、私は見捨てられた……)
一心に寄せた信頼は、あっけなく裏切られた。
おいしいものを食べて、心が少し落ち着いて。
レティシアを可哀想な子として見ている二人の会話を聞いて、だんだんと現実が見えてきた。
ズンと胸に重石が乗せられたかのように重くなる。
またじんわりと涙が浮かんできた。

