「――しかし、野菜と穀物だけしか食べるなとは、レティの親は随分と厳しいんだな」
レティシアの食べっぷりを眺めながら、ゲオルグは難しい顔をする。
本当は親ではなく神殿だがと思いつつも、聞こえなかった振りをして食べ物に集中する。
「どこかに仕えていたのでは? 生贄にされるくらいです。親はいないのでしょう。……奴隷だった、とか?」
「奴隷? こんな小さな子どもをか? 人間って鬼畜か?」
その人間を食べる魔族に鬼畜呼ばわりはされたくないだろう。
レティシアは思わず吹き出しそうになった。
「言葉遣いも整っていますしねぇ。妙に大人びておりますし」
「そうせざるを得なかった環境にいたということだろう。可哀想にな。俺は人間たちはもっとまともかと思ったが、一皮むけば俺たち魔族と同じような残虐さもあるのかもしれないな」
「フフフ……人間は弱いですからねぇ。その残虐性は弱いがゆえに生じる、などというのは多分にあるでしょう」
「俺たちはただ力を誇示するために、もしくは捕食のためというのがほとんどだからな」
あぁ、そうか。
自分はあのとき、人間の残虐性というものに殺されそうになったのだ。

