「そう言えば、及ばずの森には魔女がいましたよねぇ。呪いが得意な……」
「わー! 美味しそうなご飯! うれしいです!」
これ以上オズワルドに問い詰められたくなくて、声をあげて食事に喜ぶふりをした。
子どもらしいというものがどういうものか分からないが、とりあえずはしゃいでみせればいいのだろうか。
思いつく限りの子どもらしさを出して、レティシアは懸命に子どもを演じた。
「魔王様! 本当にこれを食べてもいいのですか?」
「おう! もちろんだ」
「本当に内緒にしてくださるのなら、喜んでいただきます!」
これは生きるため、聖女とバレないため。
そう自分に言い聞かせて食事を喜び、席に着いた。
だが、いざ食べるぞとなったときどれを食べていいのか分からず、見つめたまま考え込んだ。
「ほら、レティ」
フォークを持ったまま固まっていると、横からゲオルグが声を掛けてくる。
そちらを向くと、ゲオルグが肉と一緒に煮込んだ野菜をフォークに乗せてこちらに差し出していた。
(……これは)
いわゆる、あーんというものではないだろうか。
手ずから食べ物を食べさせるという、子どもにする行為。

