抱き上げられたまま食堂へと向かうと、食卓の上には豪華な食事が用意されていた。
肉料理や果物、デザートまである。肉の丸焼きも置かれていて驚いた。
「レティ、何が食べたい?」
優しく問いかけられて、レティシアは戸惑った。
ざっと見渡した限り、すべての料理には肉が使われている。
魔族の主食は肉なのだろうか。
神殿の掟で菜食主義を強いられていたレティシアには、口にできるものはなかった。果物も見たことないものばかりだ。
デザートも、甘いものを禁じられているので無理だ。
「……分かりません」
何を食べていいのか分からない。
どれもこれも掟に反するものばかりで、口にはできない。
「好みのものがなかったのか?」
「いいえ。野菜とか穀物類しか口にしてはいけないと言われてきたので」
「親に?」
神殿に、とは言えなかった。
言えば素性がばれてしまう。
押し黙り、答えを濁した。

