「よーし! 城まで飛ばすぞー!」
レティシアの両脇に手を差し入れて空に掲げる。まるで赤ちゃんにするような高い高いだ。
子ども扱いされて恥ずかしいやら、困ったやらで顔を赤く染め上げた。
この人から見れば、レティシアはただの子どもだ。
聖女でもなく、幼気な存在。
慈しみの目を向けられるとどうしていいか分からない。
子どものように喜んでいいのか。
そもそも、誰かにこんな風に笑いかけられることも久しい。
皆、レティシアには厳しい顔をするか、面倒くさそうに顔を歪めるかだった。
面映ゆく、むず痒い。
森を出て、黒い馬に乗せられて。
城に向けて走る最中、レティシアはどうしたものかと考える。
ゲオルグの腕の中は温かくて、少し心地よくて困ってしまった。

