「……何で、こんなこと」

 レティシアは絶望の淵でそう呟いた。
 もうこんな状況、どうしようもない。
 自分の力では解決できないほどの、絶望的な状況。

 小さな手、幼い声、いつもとは低い視線、だぼだぼの服。
 そして小さくなってしまった身体。

 レティシアは、先ほど戦った魔族が絶命直前に放った呪いによって幼児になってしまった。
 しかも、そのせいで張っていた結界が消滅し、辺りに漂う瘴気を退ける力も、魔族からの攻撃を防ぐすべも失った。

 おそらく、聖力に目覚める前までに退化してしまったために、力を失ったのだろう。
 足手まといになるというのは分かる。

 だが……。

(――置いていかれるなんてっ)

 子どもに戻ったせいか涙腺まで弱くなってしまい、ジワリと涙が目に浮かんだ。