たった一つの窓から代わり映えのしない景色を眺める。
その景色の中には、決して私が踏み入っては行けない場所も見える。
こんな幽閉同然な縛り方をしなくても私は逃げないのに・・・
コンコン
「はい」
「失礼します。」
そう言って綺麗に礼をしながら入ってきたのは父上の使用人。
「未麗お嬢様。お父上がお呼びです。」
「そう。
類」
そう名前を呼ぶとどこからか姿を表す類。
類は私の従者だ。
「父上が呼んでるって。案内して」
「かしこまりました。」
そういい私を抱きかかえる。
「ここの荷物は全て処分してくれて構わないから」
「御意」
「さ、行こう」
その言葉とともに空へ飛び立つ。
「全く、異能者め・・・
気色悪い」
そんな棘のある言葉を背に屋敷をあとにした。