それからが大変だった。移動するにもぶつかり合い、椅子に座るにもぶつかり合い、トイレに行くときも連れ添って歩く。

 一人で動いて大丈夫だと何度も言われた。

 いつも二人で動いていた翔と翼は、二十二年間一人で行動したことがない。
 翔と翼と一緒に居るときは何度もぶつかって転びそうになった。

 その日の夜、病室をもう一つ用意してくれたが、二人とも同じベッドで大丈夫だと言い張った。

 ダブルベッドサイズの特別なベッドだったが、二十二年の生活習慣が数時間で変わるわけもなく、密着しては体の位置を変え、腕を伸ばせば体が当たり笑いあった。

 このままではまともに眠れないとやはり用意してもらった別の部屋に分かれることに。


 二人は初めて一人の時間を味わう。そして初めて寂しさを味わった。



 そしてその寂しさを紛らわすように必死に眠ることに専念するのだった。