「翼くんの力は、物の色を変える能力だね」
そうなんだ!何に使えるんだろうね?
翼はわくわくしていた。体が高揚するのが解る。
そのまま退室して次は翔の番。同じように翼が青くした石に右手をかざす。
「力を使う、力を使う…」
呟きながら見ていると、石の一部分が崩れ落ちた。
「うおっ、なんだこれ」
その状況を見て専門家は室内に新しい石を投入した。
「四角い石を渡すから、この石の角を丸くしてみてくれないか」
「わかりました」
先ほどと同じように丸く、丸くと呟きながら右手をかざすと角の一角が崩れた。
「うん、じゃあほかの角を丸くするんじゃなくて丸く削ってみてくれるかい?」
翔が右手をかざすとやすりで削ったように石の角が一部粉々になった。
「じゃぁもう少し。丸い粘土を渡すから、これを星の形に変えてみて」
油粘土が室内に投入された。三度右手をかざして星形を想像してみるが、出来上がったのは少し突起のあるいびつな五角形だった。
「翔くんの力がわかったよ、珍しいタイプで近い能力が二種類使えるみたいだね。固いものだと削る、柔らかいものだと変形させる。固いものを変形させようとすると崩れてしまうのがこの力の特徴だよ」



