三十分ほど経ったあたりで返信がきた。
〈何か知っているんですか?〉
その返事を見て翔と翼は、由美が言っていた友人というのは麻未の事かもしれないと思い始める。
〈土倉麻未さんを知っていますか?〉
このメッセージにはすぐに返信がきた。
〈何か知っているんですか?何か知っているんですね?彼女は今どこにいるんですか?〉
失敗した、と翼は思った。病院内の情報は外部に漏らすことを推奨されていない。切羽詰まったこの返信をみて、簡単に名前を出すべきではなかったと激しく後悔した。
翔もメッセージを送ることを止めればよかったと反省した。おそらく由美は麻未に危害を加えるようなことはしないと思うが、許可を取ってからメッセージを送るべきだった。
焦った二人は急いでナースステーションに駆け込み、頭を下げる。
「他人の情報を外部に漏らすなんて、大問題よ」
しっかりと叱られた二人が頭を下げたままでいると、『でも、多分大丈夫よ』と続けた。
「麻未ちゃんの口から由美さんの話はよく聞いていたの。本人も会いたがっているし、でもどこにいるのか分からないのと恐怖心も相まって会いたいけど会えないって言っていたわ」
双子は少しだけ胸をなでおろした。