さまよう


 八年ほど前のニュース記事に行きついた。トラックが大きな事故を起こしたが幸いにも死者は出なかったという。先ほどの都市伝説とは全く違う内容だ。

 しかしそれ以上の情報は出てこない。ネット上に転がっているものでは限界がある。

 亮一は何か知らないだろうか?いや、いつも頼ってばかりではダメだ。しかし双子だけで情報を集めるのには限界があった。

 二人は何故こんなにも彼女の情報を集めようと思っているのか。

 麻未の哀しい顔を思い出す。
 哀しい目をしていた。

 由美が自分たちのことを、友人と同じ哀しい目をしていると言っていたのを思い出した二人。
 由美は自分の心を探すために彷徨っていると言っていた。

 何もできないけれども、麻未のために何かしたいと思ったのだろうか。

 自分たちも由美と同じように、心を探して歩き出せているということなのだろうか。


〈時を操る女の子を知っていますか?〉


 翼は何かを感じて由美に連絡を取ってみた。ふと時計を見ると夜の十時を回った所だった。遅い時間にメッセージを送ったことに後悔しながらも、返事が来るのを待つ。