麻未はうつむいたまま話す。
「仲のいい友達はいたけど、もう忘れられてるかもしれない。サヨナラも言えずにさよならしちゃったから…」
そう言ってハラハラと涙を流す麻未を見た看護師が今日はここまでにしましょうと言う。
双子も彼女に無理をさせてはいけないと頷くと各々病室に戻ることになった。
病室のベッドに腰かけた二人は何気なく時を止める少女で検索をしてみた。そこにはありもしないデタラメが並んでいた。
病院で人体実験?子供を追い詰める研究者?
この病院では真剣に能力を持った人たちをケアしている。
確かに記録を取ったりしていることは事実だが、過去の症例と相違がないかを調べたり、変異的な能力の場合は使えない薬があったりもする。
それを今後産まれてくる子供たちに活かしていくための記録だ。
それは全て本人と保護者に細かく説明され、許可を取って行っていることである。
時を止める少女が都市伝説と謳われて広げられた内容は面白半分に注目を浴びようとする輩の身勝手な妄想だろう。
彼女はこれを読んだのだろうか?そもそもこの噂が広まったのはいつだ?
勝手に詮索することは推奨されないと分かっていても、検索を続ける指が止まらない。



