病室に戻る途中の交流スペースを見て、先ほどのマミという女性を思い出す。

 この病院は、特殊な能力を持った人たちを治療したりケアしたりする専門の病院だ。ここにいるということは彼女も能力者であることは間違いないし、時を操ると言っていた。

 マミという女性にどんな過去があったのはわからないが、折角なので彼女と会話がしたいと申し出てみることに。

 病院側は快諾したが、本人は及び腰だった。それでも最初は数分だけでもと説得してくれた病院側の勧めに応じ、交流スペースで少しだけ顔を合わせることが可能となった。

 しかし、いざ会話をとなっても話題が見つからず、自分たちから誘ったのに何でも知りたいことを答えるよとしか言えなかった。

 あまりニュースを見ない彼女、土倉麻未は双子のことが不思議でたまらなかったらしい。

 もちろん双子のことは知っていたし、少しくらいなら映像で見たこともある。病院内でも見かけたりすれ違ったりしていた。


 だが同じ特殊能力を持っているのに全く違いすぎたのだ。


「力が使えないってどんな感じ?」

 双子は一瞬答えに悩んだ。

「力が使えないことが普通だから、考えたこともなかったな」

「僕たちがもし力を使えて、そのあとに力が使えなくなったのなら不便だったりするのかな。うん、わかんないね」

 麻未はきょとんとした顔でその答えを聞いていた。


 考えたことがなかったなんて。