能力を体に取り込んだものは、その大半が手の付近にその力を留める。そしてそこからしか能力値を測定することは無い。

 今まで双子は全身から均一にでていた能力値がそれぞれ右手と左手に強く出るようになったのは少しだけその能力を体に取り込んだ結果だろうということだった。

 そのことを踏まえると、双子は能力に取り込まれたのではなく、何らかの原因で取り込むタイミングを逃し、その力が全身を包んでいる状態ではないかと推測された。

 産まれた時からその状態になっていたことも考え、一卵性だったこともあり母体の中にいる時点で二人の力が混濁してしまった可能性が高いと言う。

 今回は他の能力者と出会い、その力と触れ合うことにより何かが刺激され、体に能力を取り込むスイッチのようなものが入ったのではないか。

 どれも推測の域を超えないが、現時点では積極的にほかの能力者と接する機会を増やすことで二人を包んでいる能力をまた少しずつでも取り込むことが出来るようになるかもしれないとのこと。

 これは医師としての勘でしかない全くの未知数だが、もしかしたら二人はそれぞれ力を取り込むことが出来たならば別々の個体として動けるようになる可能性も否定しきれないという言葉に二人の胸は高鳴る。

 実際は無理な問題だったとしても、何かの道筋が見えるというのは大きな希望となった。

 果たしてそれが本当に正しい事なのかを調べるためにも医師は二人に実際に行動し、積極的に様々な経験をしてみるといいと提案する。


 高鳴る胸と同等に不安も膨らんでいく。


 二人を守るボディーガードの付き添いも変わらないし、今住んでいる町の近くであればもう少し人に触れる機会を増やしてもいいかもしれない。

 今回の祭りのように小規模でもいいからイベントの情報を探そう。そう決めて二人は病室に戻ることにした。