指定された公園に足を運ぶと、三十人ほどの人だかりを見つける。その人たちの視線の先には先日の男性二人と、女性が居た。

「お、来たか」

 山口悟という物を凍らせる男性は双子を見つけて声をかける。


「お前たちの特等席らしい」
 そう言ってここに座れと指示してきた男性は田辺晃。

 その場所はステージと思われる場所の真正面だった。

 そこにはかなり大きな桶のようなものがあり、たっぷりと水が入っている。

 観客の座る位置に水が掛からないように調整しているのか、悟と共にその樽の位置を遠ざけているのが焼き鳥屋台に居た女性、長谷川あかり。

 準備が整ったのか三人が決まった立ち位置に移動する。

 向かって右側に晃が。桶の奥に悟、そして左側にあかり。

 スタートの合図も特になく、晃は桶の水を少し浮き上がらせる。
 観客は公園の芝生に座る形になっているので少し見上げる。


 ゆらゆらと動く水は、少しずつ形を作っていき、手の平より少し大きいくらいのウサギの姿に変わった。

 ゆっくりと左側にウサギが移動していき、そこに出したあかりの手の平の上で立ち止まった。