「玉ねぎとジャガイモ」

 冷蔵庫を覗き込んでいた翔と翼は今日の晩御飯をどうしようかと悩んでいた。

 二人で暮らすようになってからできる限りのことは自分たちで何でもやっていこうと決めていたため、世間一般によく知られる料理は作れるようになっていた。

「もう暑くなってきたけど、カレーライスかな?」

 そう言えば米も少なかったはずだ。翔はそう言って米びつを確認する。

 今日の分は足りそうだがどちらにしろ買い足さないといけないようだ。

「米びつも買い直したいな。五キロの米ってこんなにすぐ無くなるなんて思わなかった」

「カレーライス作った時なんて、三号くらい食べちゃうもんね、母さんの言うこと聞いて十キロのお米を保管できるやつを買えばよかった」

 自炊を始めて二か月ほども経てばカレーにジャガイモは何個使う、肉は何グラム必要、そういったものも感覚として解ってきた。

「ジャガイモが少し足りないから、ジャガイモ、ニンジン、肉、米を買いに行くか」
「それだと明日の晩御飯がまた悩むよ、母さんみたいに色んなものをまとめて買ってきちゃおうよ」

 まぁ、そうだな。そう言いながら翔は世間の自炊している人たちを少しだけ凄いと思った。

 まだまだ何も知らない今の状態からもっと知識を蓄えた時にはもっと凄いと思うのかもしれない。
 二人で暮らす世界は本当に広い世界だと改めて亮一の言葉を思い返していた。