しばらくしてから事の経緯を亮一に報告した。自分たちが感じることのできる自由とは、楽しい事とは一体何なのかを聞きたかったが自分で探せと一蹴された。
二人で生きていくのは一生続く。であれば二人じゃないと出来ないことを探してみるのもいいんじゃないかと教えてくれたが全く探し方が解らない。
教えて、解らないと繰り返し言う二人に笑いながら答えてくれたのは『少しだけ広い世界に出てみる』ことだった。
翔と翼は自宅から車で三十分ほど離れた小さな一軒家の前に居る。亮一から提案されたのは二人暮らしをすることだった。
やはり定期検査の関係もあり、また身の安全を確保するために条件は付いたが、これから少しずつ準備をして二人だけの生活を始めることとなる。
スーツ姿の男性は常に近くにいるし、出かける際の送迎も変わらない。両親に会う機会が少し減るくらいで『少しだけ広い世界に出る』ことになるのか疑問だったが、亮一はまぁ体験してみるといいよと笑っていた。
いざ二人で玄関の前に立ってみると胸が高鳴る。家具も家電もない家の中は自宅よりも広く感じてさっぱりしている。
家具や家電を選ぶために細かい採寸を取りに来たのだが実際に中に入ると欲しいものがどんどん浮かんでくる。



