努力を強いられない人生、努力を知らない人生。
 逃げなかった人生、逃げることを知らない人生。


 与えられたもので満足する人生、与えられたものに不満を言わなかった人生。
 その生き方を疑いもしなかった人生。


 外に出れば珍しがられ怯えられるが、必ず二人を守る人間が付き添ってくれる。検査に行けば記録のために様々な機器で全身くまなく調べられるがそのおかげで住むところがある。

 まただ、みんなそんな目で自分たちを見てくる。そう思いながらも周りの人間に依存しきって頼り切っている人生。

 翔と翼が病に侵された時のための検査、治験。

 未来の双子のためにレポートや記録を残す。


 それを否定することはしないが、自分たちは穏やかに過ごしているのだろうか。

 制限されていることにも気付かなかった。好きな服を買って、好きな靴を買って、もしかしたら人より少し贅沢な生活かもしれない。いや、確実に贅沢な生活をしている。



 それが自由と言えるのだろうか。