さまよう


 安全が確保できるまで保育器で様子を見ることになった。

 成長に問題はなかったが、常に重なっていなければいけない二人を見ながら身の回りのことをするのは難しく、姿が見えない分気付けないことも増えていき様々な治療や検査も増えていった。

 自我を持たない小さなころからほぼ病院に通い詰め、片方だけが病気をした時のシミュレーションなど、検査というよりも安全確保のための手順を毎日行っていた。

 小学校に通う頃には基礎生活の基盤も出来ていき、二人で行動を共にする癖もついてきた。

 そんな生活を生まれた時から選ばざるを得ない状態で人と会うことは少なかった。

 できるだけ危険を避けるために学校は送迎があり、定期的な検診は欠かせない。

 消えたり現れたりする双子を見慣れる生徒は居なかったようで、担任ですら腫物を扱うように距離を置き、病院や検査施設からの指示を守ることに神経をとがらせながら作った笑顔で対応していた。

 当然のように友達は出来ない。仕返しを恐れたのか攻撃してくるクラスメイトも居なかった。

 翔や翼の通う学校では無かったが、教室をひとつ燃やしてしまう子供や、授業中に使うハサミを壁に突き刺す子供も居たようだ。

 まだ幼い子供たちは何をするかわからない。ましてや世界に二人しかいない特殊な能力に取り込まれた双子ならなおのこと扱い方が解らないことだろう。