ドライフラワーの店?さっきの花屋みたいな看板か?いやそれよりも彼女は何なんだ?今まで生活してきた中であんなにも警戒心無く話しかけてきた人なんて居なかった。


 心臓がドキドキしてる。さっきの子はお店を探していただけみたいだ。どうして僕らに聞いたんだろう?ほかにも人は沢山居たのに。


『すぐにここから立ち去りたい――』


 二人の意見は一致していた。彼女のことが気にかかってしょうがなかったが、逃げたくてしょうがなかったのだ。

 悪意のない、敵意のない、興味のない、恐怖のない言葉を向けられたことなんて、亮一以来だ――。