翔と翼は何軒かの店を渡り歩いたがこれといったプレゼントが見つからずにいた。

 そもそもが誰かを祝うことなどしたことがない。両親の誕生日に大がかりなことをしたこともなかった。せいぜい花を注文して贈るくらいで場合によってはおめでとうだけで済ませてきたのだ。

「結婚のお祝いって何を送るのが一般的なのかな」

 人だかりも少し落ち着いた頃、スーツの男性は少し後ろを付いてきていた。

 きょろきょろと周りを見回しながら翼は困ったように呟いている。

「祝い事と言えば花じゃないか?」

 翔も分からないなりに考えを巡らせているようだ。

 ジャケットやコートを贈ろうかと思ったが服のサイズが解らなかった。手作り雑貨を見てみたがビーズの置物を喜ぶとは思えなかった。カップとソーサーのセットにしようかとも思ったがあまりピンとこなかった。

 通路の奥まった所に花屋のような看板を見つけ立ち止まる翼。


「あそこ何屋さんかな?」

 翔も翼の言う看板を確認するがあまり乗り気ではないようだ。