風通しの良いリビングでくつろぐ青年。

 三人掛けのソファに横たわり読書の真っ最中だ。

 高台に建つ二階建ての家の周りには緑が映えていて見通しがいい。
 窓から入ってくる風が青年の頬を撫でていく。


「翼、洗濯物はカゴに入れてって言ったよね」

 掃除機をかける手を止めて薄手の上着を拾う女性は不満そうにそう言った。

「僕じゃない」

 ソファに向かって右側に頭を乗せて携帯ゲームをしながら翼は答える。

「どっちでもいいけどルールくらいは守って頂戴。お母さんだって何でもできるわけじゃないのよ」

 母親が上着を放り投げると、その上着は自我を持ったかのように動き出し脱衣所内のカゴに収まった。

 ソファに向かって左側に頭を乗せた青年は読んでいる本のページをめくる。

 彼らは双子だ。