彼の名前を出したら、 いよいよ涙が溢れてきた。 涙で視界が歪んで、 「きゃっ‥!!」 階段から足を踏み外してしまった。 (‥落ちる‥‥!!) 「礼華‥!」 その瞬間に聞こえてきたのは、 「和志‥!?」 大好きな人の声。 けど、 「っ!」 和志の伸ばした腕はあと少し届かず、 目の前が真っ暗になる直前に見たのは、 焦った和志の顔。 (痛い‥!) そして、私は階段の角で頭を強く打ってしまった。