私の家族はみんな急用で来れなかったから。
「いやいいんだよ、気にすんな!」
とは言っても、
「申し訳ないんだってばぁ!」
「んー、あ、ならお礼、なんかするからさ!」
「へ?お礼?」
「なんか欲しかったりするもんある?」
‥ほしいものか。
「あ。」
「お?何々?」
「‥なんでもいいの?」
「もちろん!」
「‥だったらさ、」
「うんうん?」
「キス、して?」
「うん‥‥ん!?」
ニコニコした笑顔を浮かべていた彼は、
ブワッと真っ赤に顔を染めた。
「キ、キス!?」
「なんでそんなにびっくりするの!?」
「なんでって‥、礼華、
普段はそんなこと滅多に言わないから‥。」
「私だって言うときは言うんですー!」
照れたのか、
真っ赤になったままの顔を逸らす和志。
私はそんな彼にもっと意地悪してみたくて、
「あ、ねぇねぇ和志!」
「っ、なんだよ!」
「あのねあのね、」
「だからなんだっ‥‥‥。」
グッと彼の服の裾を引っ張り、
思いっきり背伸びをして、
ほおにキスをしてみた。



