「じゃあ後にするよ。」
「ありがと、徹。
でも、私が教室にあとで行くから!」
「いや、教室まで絶対来るなよ?迎えに行くから!」
と、言って、徹君は去っていった。
「‥徹って、
絶対私を教室に近づけたがらないんだよね‥。」
「そりゃそうよ。」
「!?」
「‥(鈍感だなぁ)」
‥やっぱり、
結由みたいに可愛ければ。
自信持って、
【好き】
って伝えられるのにな。
「それで?
どうしたの?」
「‥いや、また今度でいいよー。」
「そう?
あ。もう着席しないと、授業始まっちゃう!」
「はっ、やばい、急ごう!!」
‥バタバタ準備していても。
卑屈な思いが、
ぐるぐる頭の中を回り続ける。
もしも。
もしも、結由みたいに。
可愛くて、
優しくて、
素直だったら。
何か、変わっていたのかな‥。
好きなのに。
好きじゃないみたいな、態度。
愛想尽かされちゃうよ。
「‥和志、好き。」
1人で言うのは、
もう何回も練習したから大丈夫なんだけど‥。
「え?礼華、何か言った?」
「ううん、なんでもない。」
そっと呟いて、
和志に届けばいいのに。なんて。
少女漫画みたいなこと考えても、
現実は変わらないよね‥。



